在庫管理の基本・クラウドで在庫管理するメリットや選び方を徹底解説
在庫管理システムの基本について解説すると共に、クラウド上の在庫管理システムを使うメリットと、そして選び方について解説します。現在、各社から在庫管理システムが販売されていますが、その多くはクラウド型です。自社ではなく、外部のクラウド上に存在する在庫管理を利用することで、さまざまなメリットが生まれますが、まずは在庫管理の基本からご説明していきます。
クラウド上で行う在庫管理
在庫管理システムには、システムを自社に構える「オンプレミス型」と、システムを外部のクラウド上に構える「クラウド型」があります。これまではオンプレミス型の在庫管理システムが主流でしたが、通信速度の高速化、スマートフォン利用の広がりなど多くのポジティブな要素もあり、現在はクラウド型の在庫管理システムを導入する企業が増えています。どちらのタイプも基本的な役割は「在庫を管理すること」ですので、その点においてはどちらを使っても大きな違いはありません。ただ、この2つの在庫管理システムには決定的な違いがあります。それは「共有性」と「拡張性」です。
在庫管理システムの基本を再確認
在庫管理は、モノを扱うビジネスにおいては必ず行われている業務です。小売店だけではなく、製造業者も卸売業者も在庫を持っています。在庫はこれからお金になるモノですから、正しく管理しなければなりません。現在は、同じ商品でも多数のバリエーションを少しずつ生産することがトレンドとなっているため、在庫管理は複雑化しており、まさしく在庫管理システムの重要性が増しています。
このように、在庫管理は企業内でもひじょうに大切な活動です。在庫はお金になるものであり、製品を仕入れて在庫にするには、やはりお金が必要です。在庫を多く抱えるほど、お金も必要になるので、長い間、在庫のまま(現金化されずそのまま)になっているモノがあると、その企業の資金繰りは悪化する可能性があります。
現在のビジネスでは、在庫を抱えることも、抱えないことも、どちらもリスクになります。在庫を抱えずに商売をする場合、売れ筋商品の在庫が切れてしまったときに、競合メーカーに顧客が流出し、販売チャンスを逃してしまうことになります。適切に仕入を行い、在庫を適正レベルに保つことがビジネスの成功への鍵となりますが、そのバランスを保つために役立ってくれるのが在庫管理システムだというわけです。
製品だけが在庫ではない
小売業の場合、単純に仕入れたモノが在庫になります。製品の形をしたものが在庫として扱われるわけですが、実は在庫管理の範囲は広く、業種によっては製品以外のモノも在庫として扱われます。たとえば製造業では、完成品はともかく、まだできあがっていない製造中のモノは、仕掛品という在庫として考えます。また、その前段階、つまり仕入れられた部品や材料も、同様に仕掛品として考えます。このように業種によっては、会社の中にさまざまな形の在庫が存在するのです。
在庫はなぜ狂う
在庫管理を難しくする要素は、いくつかありますが、在庫管理の方法自体はシンプルなものです。では、なぜ在庫はかんたんに狂ってしまうのでしょうか?在庫が狂う原因の多くに「人」が絡んでいます。すなわち、「人的ミス」です。在庫管理システムを導入しても、「操作ミス」という形で、これは起きてしまいます。また、在庫管理システムに過度に頼ってしまい、人がやるべき作業を怠り、在庫のズレを生む場合もあります。在庫管理に対する意識を、スタッフそれぞれが自覚し、決められた手順やルールを守らなければ、どれだけシステムが発展したとしても、在庫は狂い続けるでしょう。
クラウドで在庫管理するメリット
クラウド型在庫管理システム
クラウド型在庫管理システムは、自社でサーバを構えて運用していたオンプレミス型の在庫管理に代わり、多くの企業に利用されています。クラウド型在庫管理システムでは、すべてのシステムは外部にあるため、インターネットを経由して利用します。自社にシステムを置かないので、社内にはシステム管理を行うスタッフも存在しません。
クラウドで在庫管理するメリット
クラウドで行う在庫管理には、オンプレミス型にはなかった多くのメリットがあります。
導入コストが安い
オンプレミス型のシステムは、サーバ導入やシステム自体の開発に多額のお金がかかりました。そもそもオンプレミス型は、自社の財産として、自社で管理するべきものなのです。導入コストは、企業の規模によっても、システムの内容によっても変わってきますが、百万円単位のお金がかかることも珍しくありませんでした。クラウドの場合は、自社に何もシステムを置く必要はないので、システム導入に際して、多額のお金はかかりません。通常、数万円も払えば利用を始めることができます。
外部からスムーズにアクセス
クラウドは、ご存じのように、外部にあるネットワーク上に存在しています。オフィスから利用する際も、インターネットを経由してアクセスしますが、これは外出先でも変わりません。つまり、インターネットが利用できる環境であればどこでも、クラウド上に存在するシステムを利用できるのです。ラップトップでもスマホでも、自宅でも海外旅行先でも、まったく問題無くシステムにアクセス可能です。
管理スタッフいらず
クラウド型在庫管理システムは、システムのすべてが外部にあるので、その管理はサービスを提供する会社がすべて行います。オンプレミス型のように、サーバを管理するスタッフを自社に置かなくてもいいので、人件費を大きく削減することが可能です。
機能の拡張が容易
クラウド型在庫管理システムは、拡張性に優れています。オンプレミス型の場合、この拡張性はひじょうに限られます。自社のビジネス戦略に役立つ、何か新しい分野の機能を追加しようと思っても、オンプレミス型では臨機応変に機能を拡張することができないのです。その点、クラウド型の場合は、多くの製品において、関連業務とかんたんに統合できるよう作られています。在庫数が増えてシステムの容量が不足してきたら、アップデートもかんたんに行えます。
主なクラウド型販売管理システム
同じクラウド型でも、システムそれぞれ、備えている機能には違いがあり、主に3種類に分かれます。
- ・販売管理システム
- 在庫管理を、販売管理のフローに組み込んで行おうというシステムが、この販売管理システムです。販売に関わる「受注」「売上」などのフローといっしょに在庫が更新されるスタイルです。帳簿を使って在庫を管理する、もっとも一般的なシステムの形です。
- ・EC向け在庫管理システム
- 小売りの中でも、楽天市場やAmazonなどのECモールに強い在庫管理システムが、このEC管理システムです。各種データの取り込みなど、各ECモールのシステムと連携しています。ただ、在庫管理システムとしては高機能とは言えません。それでも、一部の製品は、販売管理システム同様の帳簿を使って在庫管理する機能を備えていて、ECモールごとの在庫管理なども可能です。
- ・実在庫管理システム
- システムを導入しても、人的ミスで在庫が狂ってしまうことはお話ししたとおりです。しかし、この実在庫管理システムは、管理しているモノを追いかける形で在庫を管理します。通常は、在庫に付けられたバーコードを読み込むことで、どの場所に、どの在庫が、どれだけあるかを的確に管理します。